鬼のつめ
どんな伝承か
栃木県真岡市に、金貸しと米屋を営む強欲な老女がいた。困窮者の弱みにつけこみ高利で金を貸し、死にかかった病人の枕元にまで押しかけて情け容赦なく取り立てたため「鬼ばばあ」と呼ばれた。米を量る升も、買う時と売る時で中身の量を変えるごまかしをしていたという。老女が死んだ晩、海潮寺の住職が本を読んでいると、閉め切った部屋に冷たい風が吹き込み、目の前に鬼が現れて「えんま様の使いで、あの婆さんを地獄へ連れて行くことになっている」と告げたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
真岡市史 第5巻(民俗編)――伝説・昔話(真岡市(編)・真岡市史)
『真岡市史 第5巻(民俗編)――伝説・昔話』は、栃木県真岡市の市史民俗編から、第十四章「口頭伝承」の第一節「伝説・昔話」を収めたものである。大だら法師の足跡、釜淵の燈籠、大前堰の人柱、へび娘など、五行川・鬼怒川・小貝川の淵や沼、社寺にまつわる伝説と、タヌキやキツネに化かされた話を、既刊の民話集・伝説集と新たな採話から集める。冒頭に口頭伝承の参考文献を掲げ、各話の末尾に典拠を記し、結びの「まとめ」で話を河川・社寺・沼・動物の別に整理する。