大わし様の大蛇
どんな伝承か
大前さんの南西の方、東沼だか西沼だかに、橋本祝右衛門という四〇歳ほどの血気盛んな男が住んでいた。寺内方面へ鉄砲ぶちに出るには、五行川をせきとめた「大わし様(おわっさま)」の堰を渡って行く。現在の八木岡にあたるという。祝右衛門は途中の家の娘のもとへ通う男を節穴からのぞき、どろぼう呼ばわりして鉄砲で撃ち殺してしまった。娘も恋の病で死んだ。ある日、鉄砲ぶちの帰りに八木岡堰を渡っていると犬が悲鳴をあげ、大蛇が現われて犬をくわえたまま祝右衛門をにらんだ。殺した男の化身かと恐れ、大前神社に絵馬を奉納して怨霊を払ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
真岡市史 第5巻(民俗編)――伝説・昔話(真岡市(編)・真岡市史)
『真岡市史 第5巻(民俗編)――伝説・昔話』は、栃木県真岡市の市史民俗編から、第十四章「口頭伝承」の第一節「伝説・昔話」を収めたものである。大だら法師の足跡、釜淵の燈籠、大前堰の人柱、へび娘など、五行川・鬼怒川・小貝川の淵や沼、社寺にまつわる伝説と、タヌキやキツネに化かされた話を、既刊の民話集・伝説集と新たな採話から集める。冒頭に口頭伝承の参考文献を掲げ、各話の末尾に典拠を記し、結びの「まとめ」で話を河川・社寺・沼・動物の別に整理する。