秦野の弘法伝説と水の話
どんな伝承か
秦野の弘法伝説のうち、水にまつわるものは数が圧倒的に多く、語られる地域も広い。市史はそのため類話をできるだけ多く載せて伝説の変化を示した。ただし弘法山の東側にあたる大根・鶴巻地区と、大山の修験者が住んだ地域には弘法伝説が語られていないといい、伝説を運んだ宗教者集団の活動範囲を示すものと解される。大日堂の金剛水の話は、水害と干ばつに苦しんだ人々の暮らしを伝えるものとして文献から詳しく採られた。源実朝の首にまつわる伝説も秦野ではよく取り上げられるが、常識化した話は調査ではかえって語られない。縁切橋は二話のみが収められ、その由来は忘れられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秦野市史 別巻 民俗編――伝説・妖怪(秦野市(編)・秦野市史)
『秦野市史 別巻 民俗編――伝説・妖怪』は、神奈川県秦野市の市史のうち、民俗編の口承の部分を収めたものである。前半には市内で聞き取った動物・神仏・妖怪・人や村に関する話を地区名とともに載せ、河童やセンタク婆さん、グアン婆さんなどの妖怪譚を含む。後半の第四節「伝説」は一テーマ一話の方針で百話を採り、動物・植物、水、石・岩、山・坂・道・畑、塚、祠堂、家・村の七つに分け、既刊の類話を〔文献〕として要約して添える。