足元で笑った女の首と藤兵衛狐
どんな伝承か
立町の作左ェ門は駕篭かきとして名があり、地方の親分として雲助どもからも恐れられていた。その娘は木挽町の町家に嫁いだが、ある夕方、実家から婚家へ帰ろうと正寿寺の小路に入ると、草藪から女の首が出た。娘は「そんなことで腰を抜かすものか、お前は藤兵衛狐だな」と言ってなお行くと、女の首がごろんと足元に転がり、にこにこと笑った。これにはさすがの娘も気を失った。それを知って怒った作左ェ門が関興庵に駆けつけ、三日三晩狐穴の前に腰をおろして怒鳴っていたのを見て、住職が祈禱し狐を封じ込めてくれたので、娘も無事回復したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
米沢市史 民俗編――伝説(米沢市(編)・米沢市史)
『米沢市史 民俗編――伝説』は、米沢市が編んだ市史の民俗編から、第八章「口承文芸」第三節「伝説」を収めたものである。狐・河童・蛇にまつわる話、上杉家の家臣や弘法大師・源義経にちなむ話、沢・池・岩の由来、地蔵や不動尊の霊験、温泉の開湯譚、長者屋敷など、米沢とその周辺に伝わる伝説を一話ずつ短くまとめて載せる。全体を「鳥獣・草木」「人霊」「山・川・湖沼」「地蔵・社寺」「温泉・町・村」の五項に分け、遠山と田沢の七不思議も列挙する。