大樽川に現れた財宝の化身
どんな伝承か
木流しの川として名高い大樽川にこんな話が伝わる。むかし村に長者が住み、七つの倉を建てて金銀財宝を納めていたが、あちこちに泥棒が出ると聞いて、けちな長者は壺に財宝を入れ、こっそり川底の砂に埋めて隠してしまった。やがて時が経ち、長者の倉もつぶれ、村に長者がいたことを知る人もいなくなった。ある月夜の晩、通りかかった村の若衆が、川の中に突き出た岩の上で一人の女が長い髪をくしけずっているのを見た。しかし月が雲に隠れ、再び現れたときには女の姿は消えていた。長者の埋めた財宝の化身だろうという噂が立ち、鎌を持ち出して川底を掘った者もあったが、何も出なかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
米沢市史 民俗編――伝説(米沢市(編)・米沢市史・自治体史(民俗))
『米沢市史 民俗編』第八章口承文芸所収の伝説。山形県米沢市に伝わる鳥獣草木・山川湖沼・地蔵社寺の伝説を採録する。