お石堰に沈められた人柱の娘
どんな伝承か
上郷と高畠町和田の境にあるお石堰は、毎年のように破れて村を水浸しにした。巫女に占ってもらうと、堰を崩れないようにするには人柱を生き埋めにするほかない、それも生娘でなければならないと告げられた。名主はとっさにお石という娘を思い浮かべ、息子の嫁に欲しいと言って引き取り、そのまま堰へ埋めてしまった。堰はどんな出水にも破れないほど堅固に仕上がったが、その頃から不吉なことが起こり始めた。夕暮れの堰の近くでお石に会ったという者や、一晩中泥の中を歩き回って朝の百姓に助けられた者もいる。武士がお石に追われて刀を抜いた翌朝には、お石の供養塔婆が斜めに切られていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
米沢市史 民俗編――伝説(米沢市(編)・米沢市史)
『米沢市史 民俗編――伝説』は、米沢市が編んだ市史の民俗編から、第八章「口承文芸」第三節「伝説」を収めたものである。狐・河童・蛇にまつわる話、上杉家の家臣や弘法大師・源義経にちなむ話、沢・池・岩の由来、地蔵や不動尊の霊験、温泉の開湯譚、長者屋敷など、米沢とその周辺に伝わる伝説を一話ずつ短くまとめて載せる。全体を「鳥獣・草木」「人霊」「山・川・湖沼」「地蔵・社寺」「温泉・町・村」の五項に分け、遠山と田沢の七不思議も列挙する。