妊婦のいけにえで倒れた半田の神木
どんな伝承か
徳島本線沿線、美馬郡半田町の山間に、お安御前の祠がある。お安御前母子の霊を弔うために建てられたもので、旧暦の三月二四日になると「腹ぼて市」という催しが開かれ、大勢の妊婦が参拝する風習がある。豊臣秀吉が朝鮮征伐の軍船を造るため諸国に楠の供出を命じたとき、半田の庄の楠は神木として大切にされており、斧を打ち込んでも鉄のように硬く、切り込みをつけることもできなかった。修験者の祈祷では、神木を倒すには妊婦の生血を供えねばならぬというお告げであった。代官の妻お安が身を捧げて楠は伐り倒され、その木で造られた船は大安丸と名づけられたが、処女航海の際、鳴門海峡の沖で沈んだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊大全(中岡俊哉・2000年(平成12年))
『心霊大全――20世紀の超自然現象世界』は、中岡俊哉が二〇〇〇年(平成十二年)に著し、ミリオン出版から刊行した超常現象の総覧である。日本各地と世界各国の怪奇現象・伝説・心霊の地を県別・国別に紹介し、心霊写真・自動書記・憑依などの心霊現象、臨死体験と輪廻転生、透視・念力などの超能力、手かざしの治療を解説する。全六章から成り、巻末に著者インタビュー、著書・ビデオ作品一覧、あとがき、著者略歴を付す。