箕を逆さに置くことの禁忌
どんな伝承か
文部省迷信調査協議会の言い習わし集、器物に関する禁忌の項に「箕を逆に置くべからず」が宮城県の農村の例として挙げられている。同じ項には、山形の屏風を逆に立てない、新潟のびょうぶを逆さに立てると悪い、奈良の水をくむに柄杓を反対にして水を入れるのは死んだ時、石川の柄杓の水を反対にあけるななどが並ぶ。日常の道具を常とは逆さまに扱う所作を、死や凶事の作法として忌む俗信が各地に共通して行われていたことがうかがえる。
原典より
屏風を逆に立てない・・・・・・山形(漁)頭に笊をかぶるとクサが出来る・・・・・・栃木(農)搞かごを頭にかぶると背がひくくなる・・・・・・滋賀(農)朝日野箕をかぶると背が低くなると言う・・・・・・長野(都)カマドの上に刃物…—— 日本の俗信 1――迷信の実態(迷信調査協議会(編)・日本の俗信・1949年(昭和24年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の俗信 1――迷信の実態(迷信調査協議会(編)・日本の俗信・1949年(昭和24年))
『日本の俗信 1――迷信の実態』は、迷信調査協議会が編み、昭和二十四年に初版を出した迷信調査の報告書で、昭和五十四年に洞史社が復刻した。文部省が昭和二十一年に企画し、全国の小学校を通じて行った慣習状況調査をもとに、暦・日の吉凶・方角・妖怪・占い・民間療法・農漁業にまつわる迷信を統計と解説で扱う。第一章を古畑正秋・今野圓輔らの分担執筆とし、第二章に昭和二十四年度調査の手引、第三章に各地の言い習わし集、第四章に天文暦法の迷信の解明を置く。