美良島の寺屋敷に残る高麗島の古瓦
どんな伝承か
高麗島が津波で海に沈んだという伝説は、いまも周りの島々に跡を残している。小値賀島の西の無人島・美良島には小舟がようやく着くほどの平地があり、寺屋敷と呼ばれて、土を掘ると今も古い瓦が出る。高麗島にただ一つあった寺が水難を逃れてここに建て直され、のちに小値賀の本島へ移ったのだという。また十里ほど離れた下五島の本山村には、高麗島から逃げて来たという高来姓の家が三軒あり、島から持ち出した鉢を証に伝えている。近くの久賀島の蕨という集落には、あの石の地蔵が祀られているという。
原典より
つまり、ここが高麗にたった一つあった寺が水難をまぬかれてこの土地に再建されたというのである。—— 日本人物語5――秘められた世界(関敬吾(編)・日本人物語) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本人物語5――秘められた世界(関敬吾(編)・日本人物語)
『日本人物語5――秘められた世界』は、日本人の暮らしの奥にある秘められた信仰や伝承を扱った叢書『日本人物語』の一冊である。境の神や通過儀礼を論じる序論に続き、入らず山や隠れ里、竜宮、平家谷、埋蔵金、生まれ代わり、あの世を見た話、魔法使い、生霊、秘密結社、狐憑きなどを、伝承と昭和三十年代までの新聞記事・見聞を織りまぜて述べる。序論「生活文化の秘密性――はじめに」の後、「奇蹟」「不気味な神々」などの区分の下に短い節を並べる。