戸来に伝わるキリストの墓
どんな伝承か
青森県十和田湖の奥、渓流をさかのぼって原生林を十キロほど登りつめると、マユガ平と呼ばれる平原が開け、エデンの園と記した標識が立つ。そこを下ったところには白い巨大な指導標があり、十来塚にキリスト、十代墓には聖母マリアと弟イスキリの遺髪が納められていると説かれる。戸来の老人たちは、弟が身代わりとなって十字架にかかり、キリスト自身は日本へ渡ってこの地に来たのだと口をそろえた。御子の後裔を名のる家もあり、村の石切神社の名はイスキリの訛りだとも語られている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本人物語5――秘められた世界(関敬吾(編)・日本人物語)
『日本人物語5――秘められた世界』は、日本人の暮らしの奥にある秘められた信仰や伝承を扱った叢書『日本人物語』の一冊である。境の神や通過儀礼を論じる序論に続き、入らず山や隠れ里、竜宮、平家谷、埋蔵金、生まれ代わり、あの世を見た話、魔法使い、生霊、秘密結社、狐憑きなどを、伝承と昭和三十年代までの新聞記事・見聞を織りまぜて述べる。序論「生活文化の秘密性――はじめに」の後、「奇蹟」「不気味な神々」などの区分の下に短い節を並べる。