飲み水が招いた田子のカシンベック病
どんな伝承か
カシンベック病という、体の育ちが途中で止まってしまう病がある。静岡県賀茂郡西伊豆町の田子で、子どものうち数十名にその疑いがかかり、千葉医大の滝沢延次郎が幾度も伊豆へ通って調べた。すると、土地の人が飲み水にしている水源池のそばのヒノキやヤマグワなど八種の植物に、この病の反応が出たという。かかると男女を問わず身長が一メートル三十センチほどで伸びが止まり、指や足がとくに短く、関節が骨のように固まる。症状は十歳から十五歳ごろに現れ、三十五歳になっても十歳ほどの背丈という女性も見つかっている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本人物語5――秘められた世界(関敬吾(編)・日本人物語)
『日本人物語5――秘められた世界』は、日本人の暮らしの奥にある秘められた信仰や伝承を扱った叢書『日本人物語』の一冊である。境の神や通過儀礼を論じる序論に続き、入らず山や隠れ里、竜宮、平家谷、埋蔵金、生まれ代わり、あの世を見た話、魔法使い、生霊、秘密結社、狐憑きなどを、伝承と昭和三十年代までの新聞記事・見聞を織りまぜて述べる。序論「生活文化の秘密性――はじめに」の後、「奇蹟」「不気味な神々」などの区分の下に短い節を並べる。