特製の寝台で寝た二メートルの男
どんな伝承か
身長二メートル、六尺六寸という藤野利美は、福島県安達郡本宮町の出身である。昭和二十九年に肺結核で本宮病院に入院したが、病院の寝台が小さくて足の方に蜜柑箱をつぎ足した特製の寝台が作られた。廊下を歩くと鴨居に頭をぶつけるので、インドネシアのソンコ帽のような帽子をかぶっていたという。父の粂太郎は一メートル七二・七センチ、妹のケサヨは一メートル六九あり、七人兄妹はいずれも大きかった。藤野の場合は、まず大人の生まれる家筋だったのだろうという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本人物語5――秘められた世界(関敬吾(編)・日本人物語)
『日本人物語5――秘められた世界』は、日本人の暮らしの奥にある秘められた信仰や伝承を扱った叢書『日本人物語』の一冊である。境の神や通過儀礼を論じる序論に続き、入らず山や隠れ里、竜宮、平家谷、埋蔵金、生まれ代わり、あの世を見た話、魔法使い、生霊、秘密結社、狐憑きなどを、伝承と昭和三十年代までの新聞記事・見聞を織りまぜて述べる。序論「生活文化の秘密性――はじめに」の後、「奇蹟」「不気味な神々」などの区分の下に短い節を並べる。