鉈を追って川底の御殿へ行った与五右衛門
どんな伝承か
昔、尻高の与五右衛門という人が名久田川の渕へ藤を取りに出かけ、藤を切ろうとして鉈を川に落とした。拾おうと水に入ると川はどんどん深くなり、底にはお姫様がいて、与五右衛門を手厚くもてなした。川底の御殿でごちそう続きの日々を送ったが、やがて飽きて家が恋しくなり、帰ってみると家では葬式をしていた。尋ねると、本人が亡くなって三年たち、今日が三年忌だという。村人は化けて出たのだと驚き、坊さんが経を上げたが、やがて本物の与五右衛門だとわかって皆で喜び、祭りのような宴を開いたという。
原典より
藤を切ろうとして鉈を川の中へ落してしまったと。—— 高山村の民俗――昔話(群馬県民俗調査報告書 第21集・群馬県民俗調査報告書) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
高山村の民俗――昔話(群馬県民俗調査報告書 第21集・群馬県民俗調査報告書)
『高山村の民俗――昔話』は、群馬県民俗調査報告書の第二十一集から、年中行事の末尾と「口頭伝承」の部を収めたものである。口頭伝承は昔話・伝説・世間話の三つに分け、桃太郎・蛇婿入り・食わずの女房などの昔話、弘法の投筆や椀貸の渕・小太郎渕の伝説、怪力の馬之丞やアズキトギ・見越シ入道・かくしばあさんの世間話を載せる。各話の末尾には、中山字原・尻高字熊野・北之谷などの採録地と話者を添える。