鬼から嫁を隠したヨモギとショウブ
どんな伝承か
昔、嫁が節供で実家へ帰る途中、険しい山道で日が暮れ、鬼とも言われる悪者に追われた。道ばたのヨモギとショウブの原に逃げ込んでしゃがんでいると、悪者は確かこのあたりまで足跡があったのにと独り言を言いながら去っていった。嫁は夜明けを待ち、五日の朝に無事実家へ着いた。ヨモギとショウブは人の匂いを消すので助かったのだという。そこで五月四日にはヨモギとショウブを住まいの入口に挿して魔物を避け、菖蒲湯に入れば一年間魔物に狙われないとされる。
原典より
ヨモギとショウブというのは、人間のにおいをすっかり消してしまうんだそうです。—— 高崎市東部地区の民俗――伝説・昔話(群馬県民俗調査報告書 第20集・群馬県民俗調査報告書) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
高崎市東部地区の民俗――伝説・昔話(群馬県民俗調査報告書 第20集・群馬県民俗調査報告書)
『高崎市東部地区の民俗――伝説・昔話』は、『群馬県民俗調査報告書』第二十集『高崎市東部地区の民俗』のうち、口頭伝承の章である。榛名湖に入って蛇となった木部姫、弘法大師の七つ井戸、慈眼寺近くの餓鬼坂、オサキ使いの家などの伝説と、うばすて山や和尚と小僧、火の玉や死の予兆の体験などを、話者の地区名を添えて収める。伝説・昔話・命名・諺の項に分け、村の姓やあだな、農事や天気にかかわる諺も採録している。