麓山の里に通った白蛇の若者
どんな伝承か
むかし、麓山の里に、たいそう美しい糸とり娘がいた。夜になると、どこからともなくこの娘のもとへ通う美しい若者があり、二人はいつしか相思相愛の仲になった。娘は若者がどこの者とも分からないので一計を案じ、ある日、針に糸をつけたまま若者の袴の裾に縫いつけた。この糸をたぐれば素性が分かると思ったのである。ところがその夜以来、若者は二度と姿を見せなくなった。若者は白沢に年古く住みついた大蛇の化けた姿で、針のために体が弱ってしまったのだという。娘はすでに若者の子をみごもっており、五月の節句に親が菖蒲湯をたてて娘を入れたところ、蛇の子をたくさん生んだそうだ。
原典より
むかしむかし、麓山の里に、それはそれは美しい糸とり娘がおった。—— 富岡町史 第3巻(考古・民俗編)――昔話と伝説(富岡町(編)・富岡町史・自治体史(民俗)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
富岡町史 第3巻(考古・民俗編)――昔話と伝説(富岡町(編)・富岡町史・自治体史(民俗))
『富岡町史 第3巻(考古・民俗編)』第九章所収の昔話と伝説。福島県双葉郡富岡町(震災前)に伝わる口承を採録する。