代掻きを手伝った阿弥陀の泥足
どんな伝承か
西願寺の本尊阿弥陀如来はハナドリの如来と呼ばれ、もとは川内村宮渡の阿弥陀堂にあった白木の像であった。堂守の老夫婦が代掻きのため近所から馬を借りたが、馬が荒れて老婆の力では取り鎮められない。困っていると八、九歳ほどの見知らぬ子供が出てきて、鼻取りを手伝いましょうと泥田に入り、日暮れまで手伝ってくれた。夕餉を食べさせようとしたときには子供の姿はどこにもない。夕べの参りに堂へ行くと、向拝の階段から堂内まで子供の泥足の跡が続き、本尊は膝から下を泥まみれにして蓮台の上に立っておられた。以来この阿弥陀をはなどりの如来と申し上げるようになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
富岡町史 第3巻(考古・民俗編)――昔話と伝説(富岡町(編)・富岡町史)
『富岡町史 第3巻(考古・民俗編)――昔話と伝説』は、福島県富岡町の町史のうち考古・民俗を扱う巻で、ここにはその第九章「昔話と伝説」が収められている。昔話の節は昭和五十八年五月の福島県教育委員会による文化財基礎調査のまとめに町の既刊の話集から数編を加えたもので、麓山の白蛇や、大原の大吉・金平六など名のある狐の話が目立つ。伝説の節には朝賀城哀話、仏浜、戊辰戦争、鉱山、北風薬師などを収め、各話に伝承者の地区と名を添える。