祠前の大入道に投げられた男
どんな伝承か
むかし、岡内のある人が祭りの酒に酔い、ほろよい機嫌で稲荷の祠の前を通りかかった。高い欅のてっぺんでひぐらしが鳴き、夏の日も暮れかかるころである。祠の前まで来ると、大入道が道いっぱいに立ちはだかっていた。度胸のある人だったのでごめんと言って股の下をくぐり抜けようとしたところ、いきなり投げ飛ばされ、田んぼの中に落ちて気を失ってしまった。しばらくして気がつくと喉が渇いてたまらない。見回すときれいな水桶があったので、口をつけて心ゆくまで飲んだ。家に帰ると女房が臭い臭いと叫んで逃げ出した。稲荷狐に化かされ、肥溜めの水を飲んでいたのである。
原典より
むかし、むかし、岡内のある人がお祭りの酒に酩酊し、いなり祠の前をほろよいきげんで通りかかった。—— 富岡町史 第3巻(考古・民俗編)――昔話と伝説(富岡町(編)・富岡町史・自治体史(民俗)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
富岡町史 第3巻(考古・民俗編)――昔話と伝説(富岡町(編)・富岡町史・自治体史(民俗))
『富岡町史 第3巻(考古・民俗編)』第九章所収の昔話と伝説。福島県双葉郡富岡町(震災前)に伝わる口承を採録する。