力持ちカナテコ
どんな伝承か
井田にカナテコとかガンテコと呼ばれる力自慢の若者がいた。仲間と薪を縛る縄をなうとき、藁を叩いて柔らげる手間もかけずに、何百束も積んだ藁の山に登って次々と縄をない、半日もかからず藁の山を縄の山に変えてしまった。雑木を切っていて鎌の切れが鈍ったので研ごうと見直すと、握っていたのは鎌ではなく石臼の取っ手だったという。七尾の山車見物の帰り、飯川の宮の前の盤持石に腰かけて昼飯を食べていると、土地の若者に石を担げたら許すと咎められた。カナテコは一石の石を軽々と持ち上げて放り投げ、石は欅の股に乗ってしまい、若者たちはこそこそと逃げ出したという。
原典より
カナテコは飯を喰い終って、やおら立ち上がると、その一石盤の石を軽々と持ち上げ、ヤーッと上にほうり投げた。—— 鹿島町史 通史・民俗編――伝説(鹿島町(編)・鹿島町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
鹿島町史 通史・民俗編――伝説(鹿島町(編)・鹿島町史)
『鹿島町史 通史・民俗編――伝説』は、鹿島町の町史通史・民俗編のうち、昔話と伝説の節と、続く「俗信と俚諺」の冒頭を収めたものである。石動山麓と邑知地溝帯の集落で聞いた話を、芋掘り権兵衛や屁売りじいさなどの昔話、亀塚や椀貸穴などの自然伝説、初瀬の観音様や井田の不動滝の信仰伝説、久江の道閑や村境を決めた話の歴史伝説に分け、在所名を添えて載せる。伝承の状況や語り始めと結びを述べた解説を前に置く。