象潟に漂着した神功皇后とワニ石
どんな伝承か
大時化の続いたあとのよく晴れた十月下旬、象潟近くの沖合に大きな船が漂流していた。小浜の宿禰がこれを見つけて引き舟を出し、潟口の小さな入江へ導いた。それは新羅親征から凱旋する神功皇后の船で、周りには千匹のワニが護衛するように付き添っていたという。皇后は臨月であったため、俗界を離れた清らかな帆手掛島に仮宮を作って移った。ちょうど蚶満寺境内の袖掛地蔵堂の位置にあたり、このあたりの巨石を人びとはワニ石と呼んでいる。皇后は霜月十五日にここで皇子を産み、翌年四月に入江鰐渕から筑紫へ向かったと伝える。
原典より
話はそのかみの昔にさかのぼる。—— 日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第2巻』は、岩手・宮城・秋田の三県に伝わる伝説を話の型ごとに集めた伝説資料集である。山の争いや沼の主の手紙、巨人の足跡、八郎太郎、ザシキワラシ、河童、掃部長者などの伝説を、口承の聞き書きと近世以降の地誌・縁起から採る。凡例のとおり各項は伝承地を示した例話を冒頭に据え、〔類話〕〔文献〕〔参考〕を続け、柳田・高木による話型名を添えた項もある。