庭石に現れた阿弥陀と常願房
どんな伝承か
親鸞聖人が稲田の庵を出て鹿島神宮へ参る途中、高浜の里で腫物に苦しむ男のことを聞き、痛みを取ってやろうと家を訪ねた。男は旅の乞食坊主に何が治せるかと悪態をついたが、聖人は怒らず、念仏を唱えながら体をさすった。すると痛みが引き、腫れもおさまってしまう。驚いた男は詫び、焼餅をすすめた。船着場まで見送った男に、聖人は念仏を勧め、庭の石に阿弥陀如来が宿ると告げた。帰って石を見ると尊像が浮かび、男は常願房と名乗って弟子になったという。
原典より
親鸞聖人が、稲田(笠間市)の庵を出て鹿島神宮参拝のおり、途中この高浜の里にかかったとき、腫れもので非常に苦しんでいる男のことを聞き、聖人は憐れに思ってその男の家をたずね、「腫ものの痛みをとって進ぜよう」というと、その男は…—— 日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。