皮膚病を癒した小町の観音参り
どんな伝承か
小町は父に従って八郷の地にやってきたが、そこで悪性の皮膚病にかかったという。美しさで知られた身にはこたえる病で、小町は神仏に祈った。住まいの裏山の向こうに観音が祀られていると聞き、雨の日も風の日も山を越えて参拝を続けたところ、ひどかった皮膚病は次第に癒えていった。喜んだ小町は近くの農家からすずり石を借りて和歌を一首したため、全快の礼として観音堂に納めた。さらに髪に挿していたこうがいを堂のわきの清水のそばに挿すと、それが根づいてひとかかえもある大木になったという。木の皮を煎じて飲めば皮膚病にかからないといわれ、患者でにぎわったが、今は枯れて二股の枝が葉を残すだけになっている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。