石臼を探す女の歌声が響く日子山
どんな伝承か
友部に日子山という高みがある。冬の夜、丑満どきに風が渡ると、どこからともなく若い女がむせび泣くような歌声が流れ、臼子悲しや、臼子いずこ、と繰り返したという。この山には古くから大きな石臼があったが、いつしか失われ、それ以来この声が聞こえるようになった。声の主は幼い子を亡くした母で、木の実を拾ってはその石臼で搗き、団子にして子の墓へ供えていたが、心を病み、椿の咲くころに世を去ったと伝わる。村人が手分けして石臼を探し出すと、歌声はやんだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。