髪と櫛を埋めた後賀の小町塚
どんな伝承か
後賀には小町塚と呼ばれるものがある。五輪塔のいくつかの部分を重ね合わせた塚で、小野小町がこの地に滞在していたころ、朝夕に顔を洗い髪を梳いたときの抜け毛をためておき、病が癒えて旅立つ際に、その髪と櫛や鏡を一緒に埋めたものだと伝わる。塚のかたわらには見上げの松があり、根元から何度切っても芽を出して枯れなかったという。塚から少し北の道端には、湧き水を石で囲った小町の化粧井戸があり、百日あまり滞在した小町が毎朝この水で顔を洗ううちに、次第に若返って美しくなったと語られている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。