小町塚と若返りの化粧井戸
どんな伝承か
後賀に小町塚と呼ばれる、五輪塔の部材をいくつか重ねたものがある。小野小町が後賀に滞在したとき、朝夕顔を洗い髪をとかして抜けた髪をとっておき、病が癒えて旅立つ際にその髪や櫛、鏡を埋めたものだと伝えられる。塔のそばには見上げの松があり、何度根元から伐っても芽を出して枯れなかったという。ここからやや北の道端には小町の化粧井戸と呼ばれる、湧き水を石で囲った井戸がある。病に倒れて百日余りとどまった小町が、化粧道具もないまま毎朝この水で顔を洗ううちに若返って美しくなったと言い伝えられる。深さ三メートル、直径一メートルの石垣造りで、一年中水が絶えたことがない。
原典より
後賀に、小町塚といって、五輪塔の幾つかの部分を重ねたものがある。—— 富岡市史 民俗編――昔話・伝説・世間話(富岡市(編)・富岡市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
富岡市史 民俗編――昔話・伝説・世間話(富岡市(編)・富岡市史)
『富岡市史 民俗編――昔話・伝説・世間話』は、富岡市が編んだ市史の民俗編のうち、民俗知識の章の末尾と口頭伝承の章を収めたものである。口頭伝承の章は、昭和四十年代以降の中学校郷土部の採話や額部地区の民俗調査、市史編さんの調査で聞き取った昔話・伝説・世間話と、富岡・甘楽方言の解説から成る。伝説は自然的・社会的・信仰的の三つに分け、羊太夫や小野小町、貫前神社にまつわる話と多くの地名起源を載せる。