冬に水の涸れる大師河原
どんな伝承か
荒川で旅人を舟に乗せて渡し、その稼ぎで暮らす貧しい老女がいた。寒い冬の日は客も来ない。そこへ旅の僧が来たので、老女は銭を取らずに向こう岸へ渡してやった。僧は礼として、冬のあいだだけ荒川の水を涸らしてほしいという老女のただ一つの願いを叶えたという。それゆえ荒川は冬になると石ばかりの河原になった。この旅僧が若い日の弘法大師であったことから、この河原は大師河原と呼ばれるようになったと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。