大師が引き返したしゅぎょうもどり石
どんな伝承か
弘法大師が諸国を回って仏教を広めていたころ、水戸街道を通って小山のあたりへ来たという。六月の初め、小田林の百姓が籠を背負い草刈鎌を入れて野良へ出かける途中、大師と行き会った。何の仕事かと問われた百姓は、冬に芽を吹いて夏に枯れる草を刈りに行くと答える。大師にはどうしても解けず、教えを乞うと麦のことだと明かされた。修行がまだ足りないと悟った大師は、そこから引き返したという。その場所を村人はしゅぎょうもどり石と呼び、いまはサギッパナともいうと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。