湯殿を離れた隙と金王丸の逃走
どんな伝承か
金王丸は源義朝に仕えた従童だった。平治の乱に敗れた義朝が尾張の長田忠致を頼って落ちのびたとき、義朝は計略にかけられ、入浴中を長田の家来に討たれてしまう。義朝の刀を持って湯殿に控えていた金王丸が、湯上がりの支度を取りに浴室を離れた、そのわずかな隙のことだった。金王丸は四、五人を斬り伏せ、鞍もない馬にまたがって逃れ、ついに余川へたどり着いてそこに住みついたという。その子孫は渋谷を名のった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第6巻』は、富山・石川・福井の北陸三県の伝説を集めた伝説集成の一巻である。神々の国争い、弘法大師や義経の遍歴、片目の魚、猿神や化物の退治など、伝承地を示した話を掲げ、県別の類話と古記録の文献記事を添える。巻末に福田晃の解説「主人公にたどる伝承世界」と、県ごとに近世の地誌から市町村史・民話集までを並べた使用資料一覧を置く。