障子の隙から伸びる白い手
どんな伝承か
日の暮れるころ、大飴屋の入口の障子が細めに開いて、一文の飴を求める者がある。差し出される手は白く細く痩せていた。飴を受け取ると音もなく立ち去り、それが三日続いた。翌朝、置いていった銭は一枚の木の葉になっている。店の者があとをつけると、小さな寺の墓場で姿が消えた。住職に話して墓場へ行くと、かすかに赤子の泣き声がする。見れば四、五日前に葬式のあった妊婦の墓であった。掘り返すと玉のような男の子が泣いている。その子は成人して通幻禅師となり、龍泉寺の開山になったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第6巻』は、富山・石川・福井の北陸三県の伝説を集めた伝説集成の一巻である。神々の国争い、弘法大師や義経の遍歴、片目の魚、猿神や化物の退治など、伝承地を示した話を掲げ、県別の類話と古記録の文献記事を添える。巻末に福田晃の解説「主人公にたどる伝承世界」と、県ごとに近世の地誌から市町村史・民話集までを並べた使用資料一覧を置く。