墓から飴を買いに来る女と赤子
どんな伝承か
盛岡市川原町の円光寺の門前にある飴屋へ、夜ごと若い女が銭を一文ずつ持って飴を買いに来た。不思議に思って気をつけていると、女は墓穴から出入りしていた。或る時、飴屋の亭主が墓の下から赤児の泣き声を聞き、掘ってみると男の子が生まれていた。その墓の主は産で死んだ若い女房であったので、亭主は近所に住むその夫に知らせた。幽霊の子は後に丈夫に成長し、あれは幽霊の子の誰某だと言われたという。話者の祖母の若い時代の話であるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
農民俚譚(佐々木喜善(著)・本山桂川(編)・佐々木喜善・東北民俗・1934年(昭和9年))
『農民俚譚』は、佐々木喜善が書きためた昔話や伝説を、その没後に本山桂川が編んで昭和九年に刊行した本である。陸中の和賀郡・岩手郡・胆沢郡で集めた炭焼長者や瘤取爺などの昔話に、河童・山男・山女・人柱・蛇にまつわる伝説、地蔵の話、異類に嫁ぐ女の話を記した「縁女綺聞」、紫波郡の口碑による「鳥蟲木石伝」などを収める。郡ごとの昔話には大正十三年の日付の前書きが付き、巻末に本山桂川の追想「佐佐木喜善君の遺業と其晩年」を置く。