腹の子を出さずに葬れば幽霊に
どんな伝承か
福島県大沼郡の宮下村では、妊婦が亡くなったとき腹の子を出さずに葬ると、その女は幽霊となって現れ、いつまでも成仏できないと言われている。同じ宮下村では、取り出した子を母と一つの棺に納めて葬るとも伝えられる(『民間伝承』一七巻五号)。著者は、産女の怪や子育て幽霊の話が、こうした妊婦を浮かばれない者とする信仰とつながっていたのではないかと述べている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂の行方(最上孝敬・最上孝敬・葬送民俗・1984年(昭和59年))
『霊魂の行方』は、最上孝敬の葬送習俗に関する論説を集め、名著出版が昭和五十九年に刊行した論集である。死者の霊を家から送り出す霊送りやカラダビ、骨掛け、男女別墓制と半檀家、無縁仏、盆と施餓鬼、葬儀の水など、千葉・埼玉をはじめ各地で聞き取った習俗と既刊の報告をもとに論じる。「霊送りとその周辺」「葬送の諸問題」「葬祭の民俗」の三章に二十八篇を収め、巻末に初出一覧、大島建彦の解説、年譜、著作目録を付す。