棺から生まれた飴買い幽霊の子
どんな伝承か
今から三百年ばかり前、盛町の宇津の沢に内野という屋号の家があった。この家の嫁が年若くして病で亡くなり、葬式を済ませたあと、近所の飴屋の主人が奇妙なことを告げに来た。嫁が亡くなってから三日三晩というもの、見たこともない青白い顔の女が毎晩飴を買いに来る。三日目の夜、主人がさりげなく後をつけると、女は洞雲寺の墓場へ向かい、内野の嫁の新墓のそばへ行った。そこで突然、赤ん坊の泣き声がして、女の姿は見えなくなったという。寺の坊さんも三日ばかり赤ん坊の声を聞いていた。翌朝みなで墓を掘ると、嫁を納めた棺の中から玉のような赤ん坊が出てきたのであった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大船渡市史 第4巻(民俗編)――伝説(大船渡市(編)・大船渡市史)
『大船渡市史 第4巻(民俗編)――伝説』は、大船渡市が編んだ市史の民俗編である。この写しには、第六章「俚諺・俗信」の軽口・地口の類と、天候予知や吉凶の前兆、禁忌、呪法などの俗信、第七章「伝説・昔話」のうち伝説の節を収める。伝説は木・石、山、坂・洞穴・塚、水部、長者旧家、社寺・堂閣、地名などに分けて、五葉山や日頃市・末崎など市内各地の言い伝えを並べる。