園家千軒を襲った津波と上清お虎
どんな伝承か
黒部市の園家の砂丘には、かつて園家千軒と呼ばれる港町が栄えていたという。ある夜、町一番の物知り婆が星の異変から天災の迫るのを知り、津波が来るから逃げよと触れ回ったが、誰も信じなかった。その夜、大津波が町をのみ込み、あとに大きな砂丘が残った。生き残った老婆は黒部川を渡って旅に出て、若狭で八百歳まで生きたといい、上清お虎と呼ばれた。串柿を日に三つ食べて命をつなぎ、村の椿の花が落ちたら死んだと思ってくれと語ったという。入善町東狐の善称寺が園家にあったころ、寺の接待役の上清どんの爺が持ち帰った折詰に人魚の肉が入っており、それを食べた婆が年を取らなくなったのだとも伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第6巻』は、富山・石川・福井の北陸三県の伝説を集めた伝説集成の一巻である。神々の国争い、弘法大師や義経の遍歴、片目の魚、猿神や化物の退治など、伝承地を示した話を掲げ、県別の類話と古記録の文献記事を添える。巻末に福田晃の解説「主人公にたどる伝承世界」と、県ごとに近世の地誌から市町村史・民話集までを並べた使用資料一覧を置く。