人魚の肉を食べた下田の白比丘尼
どんな伝承か
中新川郡立山町の下田には、昔、家が四軒しかなかった。ある講の日、前立の女が自分の家で宿をするから来てほしいと頼み、村の者は聴聞に出かけた。女の家では立派な料理が振る舞われ、帰りに折詰を渡された。四郎兵衛はそれを戸棚に入れたまま外出し、留守中に娘が見つけて食べてしまう。これが龍神の化身ともいう人魚の肉であった。娘は何年たっても年を取らず、何百年も生き永らえたという。肌が白かったので白比丘尼と呼ばれ、昼を嫌って夜に出歩いたが、ある晩に下男へ顔を見られると、村の白山社に一本杉を植えて遠くへ去った。のちに若狭で八百比丘尼になったと伝える。
原典より
<柳田——「比丘尼谷」>中新川郡立山町下田には昔、家が四軒しかなかった。—— 日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第6巻』は、富山・石川・福井の北陸三県の伝説を集めた伝説集成の一巻である。神々の国争い、弘法大師や義経の遍歴、片目の魚、猿神や化物の退治など、伝承地を示した話を掲げ、県別の類話と古記録の文献記事を添える。巻末に福田晃の解説「主人公にたどる伝承世界」と、県ごとに近世の地誌から市町村史・民話集までを並べた使用資料一覧を置く。