立山の亡者宿
どんな伝承か
江戸から来た小八という男が、立山の麓の宿屋を訪ねる。主人は、この立山には地獄と極楽があって亡者が皆集まっており会わせられるが、決して言葉をかけてはならない、かければ姿が消えて二度と会えなくなると告げる。小八が会いたいのは、下谷長者町の裏長屋で共に暮らしていた、先月二十五歳で病で亡くなった女房だった。主人は年齢と命日を尋ね、翌朝案内の者をつけると約束する。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の怪談(二)(田中貢太郎・日本の怪談シリーズ)
『日本の怪談(二)』は、田中貢太郎が著した怪談・奇談の短編集である。著者の郷里である土佐の高岡郡や長岡郡の山村の話を多く含み、越中の放生津や立山、利根川の河口、館林の城下、江戸の碑文谷などを舞台に、蟹や蛇の怪、鮭の祟り、山姑、亡者宿、切支丹の処刑にまつわる怪異を物語の形で書く。「蟹の怪」から「鶏物語」まで二十八篇を収め、友人から聞いた話として語る篇もある。