立山の亡者宿(続き)
どんな伝承か
亡者宿の主翁は小八の家を訪ね、抱えていた女を返せと迫ったが、仲間に叩き出された上、大家に訴え出た。双方の言い分は折り合わず、事は町奉行所に持ち込まれる。奉行は、立山の麓の亡者宿が足のある幽霊を客に見せて金を騙し取っていた仕組みを見抜き、主翁を厳しく戒めて宿屋家業を改めるよう申し渡した。主翁は小八に金を返し、女に暇を与える証文を渡した。その夜、家主が仲人となって小八と女の婚礼が行われ、両者のわだかまりも解けたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の怪談(二)(田中貢太郎・日本の怪談シリーズ)
『日本の怪談(二)』は、田中貢太郎が著した怪談・奇談の短編集である。著者の郷里である土佐の高岡郡や長岡郡の山村の話を多く含み、越中の放生津や立山、利根川の河口、館林の城下、江戸の碑文谷などを舞台に、蟹や蛇の怪、鮭の祟り、山姑、亡者宿、切支丹の処刑にまつわる怪異を物語の形で書く。「蟹の怪」から「鶏物語」まで二十八篇を収め、友人から聞いた話として語る篇もある。