山鳥の尾の矢が射た八面大王
どんな伝承か
長野県南安曇郡穂高町有明に伝わる八面大王退治の話。信濃富士と呼ばれる有明山に八面大王という悪鬼がいて里人を苦しめ、朝廷は坂上田村麻呂を差し向けた。鬼は空を暗くし大石を降らせて寄せつけない。将軍が水沢の清水観世音に祈願すると、夢枕に観世音が現れ、十三節ある山鳥の尾で矢を作れとのお告げがあった。かつて慈悲深い老翁に命を救われた山鳥が娘の姿で恩返しに現れ、十三節の尾を差し出した。その矢で射ると悪鬼は滅び、死骸は生き返って祟らぬよう切り離して別々に埋められた。有明村の耳塚は耳を埋めた塚といい、老翁は将軍から矢村矢助の名を貰い、その子孫が村に残ると伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。