湯で欺かれた一番鶏と長洲の禁忌
どんな伝承か
菅原道真が大宰府に流される途中、長洲で潮待ちをされたとき、明日の出立は一番鶏の刻を告げる声を合図とすることになった。その夜、菅公をよく思わない者が、鶏舎のとまり木になっている竹に熱い湯を通した。足を暖められた鶏は、もう夜が明けたものと勘違いして一番の刻を告げ、一行はまだ夜明けには早いのに、しかたなく出立していった。後で村の人たちは鶏が勘違いしたことを知り、以後、村では鶏を飼わないようになったという。戦後の食糧難の一時期に、葱も作ろう鶏も飼おうということになったが、氏神の嫌うことを黙ってしてはいけないと神主に祓ってもらってのことで、それもしばらくの間で元どおりになった。
原典より
菅原道真が大宰府に流される途中長洲で潮待ちをされたとき、明日の出立は一番鶏の刻を告げる声を合図とするということになった。—— 日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第8巻』は、黄地百合子・酒向伸行・田中久夫が滋賀・京都・兵庫の三府県を分担して執筆し、福田晃がまとめた伝説集である。丹波の湖を神々が切り開いた国造りの話、神同士の争い、英雄や長者の盛衰、蛇と人の話、魚・鳥・石・塚・祠堂の由来などを、各地の口承や記載資料から集める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、高木敏雄・柳田国男の対応する話名を付す。