八岐頭の大鹿を討った猟師満野三郎
どんな伝承か
大和に香野太郎・次郎・三郎という力自慢の兄弟がいて、いずれも親孝行であった。母が病に伏し、七声半鳴く牡鹿の肉を食べたいと望んだので、三人は山へ入って鹿を仕留め母に供したという。のちに三郎は満野と姓を改め、猟師として身を立てた。そのころ丹波には八岐の頭を持つ大鹿がいて害をなしており、三郎は帝の命を受けて討ちに向かう。十六本の角を振り立てて岩上に現れた大鹿を弓で射倒し、さらに大鎌で斬り伏せた。流れ出た血が溜まって池となり、その地を血井すなわち知井と呼ぶ。三郎は須那木、今の砂木に住みついて狩具庫を構えたと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第8巻』は、黄地百合子・酒向伸行・田中久夫が滋賀・京都・兵庫の三府県を分担して執筆し、福田晃がまとめた伝説集である。丹波の湖を神々が切り開いた国造りの話、神同士の争い、英雄や長者の盛衰、蛇と人の話、魚・鳥・石・塚・祠堂の由来などを、各地の口承や記載資料から集める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、高木敏雄・柳田国男の対応する話名を付す。