鱗の現れた娘と箕面の滝
どんな伝承か
実楽の地主の家に、お光という一人娘がいた。黒髪の美しい娘だったが、夏の盛り、人が昼寝をする時分になると決まってどこかへ姿を消してしまう。不審に思った母親がある夜そっと娘の部屋をのぞくと、背中から脇腹にかけて鱗が浮かんでいた。正体を見られたお光は、もはやこの家にはいられないと告げて出て行ってしまう。二、三年ののち、娘は摂津の箕面の滝にいるらしいという噂が届いた。母親が滝壺のほとりへ立って娘の名を呼ぶと、水の中から蛇の体となった姿がひととき現れ、そのまま消えていったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第8巻』は、黄地百合子・酒向伸行・田中久夫が滋賀・京都・兵庫の三府県を分担して執筆し、福田晃がまとめた伝説集である。丹波の湖を神々が切り開いた国造りの話、神同士の争い、英雄や長者の盛衰、蛇と人の話、魚・鳥・石・塚・祠堂の由来などを、各地の口承や記載資料から集める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、高木敏雄・柳田国男の対応する話名を付す。