末娘が嫁いだ先は池の主だった
どんな伝承か
娘が二人いて、大きな百姓であった。日照りが続き、田んぼでお爺さんが「雨が降ってほしいなあ。雨が降って田が植わったら、家にいる三人娘のうち一人をやるのに」と独り言を言っていると、そこへ一人の侍が来て、雨を降らしたら娘をくれるかと言って去った。その夜から雨が降り、田が植わった。お爺さんが言ったことを忘れているうちに、ある夜、侍が娘をもらいに来たという。驚いたがやらねばならず、上の娘に言うと嫌だと言い、中の娘も断る。末の娘が行きますと言って、侍が連れて行った。それから三年ほどして娘が里帰りして泊まったが、寝ている部屋を覗かないでくれという。親たちは見たくなって覗くと、大蛇になって部屋いっぱいになっていた。娘は翌日、もう帰ってこられないと言って夜叉ヶ池へ行ってしまった。それ以来、年に一度、夜叉ヶ池へ供え物をするようになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第8巻』は、黄地百合子・酒向伸行・田中久夫が滋賀・京都・兵庫の三府県を分担して執筆し、福田晃がまとめた伝説集である。丹波の湖を神々が切り開いた国造りの話、神同士の争い、英雄や長者の盛衰、蛇と人の話、魚・鳥・石・塚・祠堂の由来などを、各地の口承や記載資料から集める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、高木敏雄・柳田国男の対応する話名を付す。