目玉を与えた蛇の母と鳴った鐘
どんな伝承か
与助という鍛冶職人が、浜辺で子供が蛇をつかまえて遊んでいるのを見て、金を渡して譲り受け逃がしてやった。三月ほどして夜中に若い女が道に迷ったと訪ねてきてそのまま住みつき、やがて夫婦となって男の子が生まれ、与の助と名づけた。ある日女は「私は本当は蛇や」と明かし、三年間人に化けて礼に来たが帰る時が来たと言って琵琶湖へ去った。乳を欲しがって泣く与の助のために、女は金の玉として自分の目玉を与え、殿に取り上げられるともう片方も与えて盲目になった。与の助が六歳のとき、与助が寄進した三井寺の鐘は誰がついても鳴らなかったが、与の助がつくと母の一心で鳴ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第8巻』は、黄地百合子・酒向伸行・田中久夫が滋賀・京都・兵庫の三府県を分担して執筆し、福田晃がまとめた伝説集である。丹波の湖を神々が切り開いた国造りの話、神同士の争い、英雄や長者の盛衰、蛇と人の話、魚・鳥・石・塚・祠堂の由来などを、各地の口承や記載資料から集める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、高木敏雄・柳田国男の対応する話名を付す。