イシナギに化身した娘およ
どんな伝承か
余部の漁師が、娘を舟に乗せてイシナギ漁に出ていた。通ううちに娘は魚の集まる場所を覚え、このあたりがよかろうと父に教えるようになる。ところが父は、娘はいずれ他家へ嫁ぐ身、そうなればこの漁場を余所に取られてしまうと考え、ついに娘を手にかけて海へ捨ててしまった。それからというもの、余部の沖ではイシナギがよく獲れる年が続いた。誰が言い出したのか、殺された娘のおよが魚に生まれ変わったのだと語られるようになり、この魚は「およ」の名でも呼ばれるようになったという。
原典より
昔、余部の漁師が娘を連れてイシナギ漁に出ていた。—— 日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第8巻』は、黄地百合子・酒向伸行・田中久夫が滋賀・京都・兵庫の三府県を分担して執筆し、福田晃がまとめた伝説集である。丹波の湖を神々が切り開いた国造りの話、神同士の争い、英雄や長者の盛衰、蛇と人の話、魚・鳥・石・塚・祠堂の由来などを、各地の口承や記載資料から集める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、高木敏雄・柳田国男の対応する話名を付す。