ヨキを研ぐ老婆に諭された修験者
どんな伝承か
昔、八ツ山(八ッ淵の滝)の頂上へ若い修験者が修行に来たが、つらくて三日目に山を下りてきた。鹿ヶ瀬の小白ヶ谷まで来ると、ヨキを磨いでいる老婆に出合った。何をするのかと聞くと、老婆は縫い針にするのだと答えた。そんな馬鹿なと思った修験者が、千年も万年もかかるからやめておくようにと言うと、老婆は命のある限り磨き続けると言った。それを聞いた修験者は自分が修験者であることを思い出し、三日坊主でどうするという老婆の言葉に心を入れかえて山へ戻っていった。今でも老婆がヨキを磨いていた所を「ヨキ磨ぎ」と呼んでいる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第8巻』は、黄地百合子・酒向伸行・田中久夫が滋賀・京都・兵庫の三府県を分担して執筆し、福田晃がまとめた伝説集である。丹波の湖を神々が切り開いた国造りの話、神同士の争い、英雄や長者の盛衰、蛇と人の話、魚・鳥・石・塚・祠堂の由来などを、各地の口承や記載資料から集める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、高木敏雄・柳田国男の対応する話名を付す。