天日を戻した長者と蟠龍湖
どんな伝承か
高津の西北に高浜、あるいは吹上と呼ばれる白砂青松の丘陵があり、その西の海浜に沿って長者が原という所がある。長者斎藤某の居住跡だと伝わり、今の蟠龍湖は昔この長者の田であったという。ある時、田植えの最中に猿まわしが来て、早乙女たちが見入ったために田植えがすっかり遅れ、日は西山に傾こうとした。長者が扇を出して夕陽をあおぐと、不思議にも日は三尺後ろへ返り、田植えは無事に終わった。しかし人の身で天日を戻した罪は大きく、天罰として大津波が屋敷を襲い、一帯は白砂の浜と化して田畑は湖水になったと語られる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第11巻』は、山陰の鳥取・島根両県の伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。矮姫による穀物の伝来、大山の山くらべ、伯耆の白兎、雲州皿屋敷、七尋女房、牛鬼、隠岐の後鳥羽上皇などを、伝承地を明記した口承の例話で示し、類話と近世以降の文献を添える。「文化叙事伝説」「自然説明伝説」の部に分けて話ごとに番号を付し、凡例のとおり例話・類話・文献・参考の順に並べ、多くの話に高木・柳田による伝説名を添える。