日を招き返した炭焼長者の最期
どんな伝承か
京の姫君は生まれつきの醜さを嘆いて閉じこもっていたが、夢のお告げに従い、駿河の炭焼き長次郎と夫婦になった。姫の持つ宝の玉は望むものを何でも出すので、長次郎は千人の百姓を使う長者となる。富士の巻狩に来た源頼朝が蓑千枚を借りると、長次郎は足の不自由な者千人に持たせて差し出した。返す際、頼朝は目の不自由な者を千人集めようとして数が足りず、集まった者を池に沈めてしまう。粟蒔きの日、長次郎は扇で日を招き返して仕事を終えたが、その夜熱病にかかり、自ら池に身を沈めた。姫も天子ヶ岳のつつじに瓔珞を掛けて自害したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。