炭焼き藤太と砂金の今出山
どんな伝承か
昔、都の身分の高い公卿の家に年頃の姫がいたが、良い縁談がないので日頃信仰する観音に願をかけた。二十一日目の夜、観音が夢枕に現れ、そなたの夫は奥州は気仙郡の今出山で働いている炭焼き藤太という者だと告げた。姫は家人の反対を押し切って気仙へ旅立ち、今出山のある沢で道に迷ったところを炭焼きに助けられたが、その炭焼きこそ藤太であった。藤太は貧しさを理由に再三断ったが、姫は聞き入れず夫婦となった。ある日藤太が金の塊を持ち帰り、鴨や雉を捕るのに投げつけるのだ、こんなものは今出山にいくらでも転がっていると言う。姫が驚いて山へ行くと一帯は砂金の山で、二人は大長者になったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大船渡市史 第4巻(民俗編)――伝説(大船渡市(編)・大船渡市史)
『大船渡市史 第4巻(民俗編)――伝説』は、大船渡市が編んだ市史の民俗編である。この写しには、第六章「俚諺・俗信」の軽口・地口の類と、天候予知や吉凶の前兆、禁忌、呪法などの俗信、第七章「伝説・昔話」のうち伝説の節を収める。伝説は木・石、山、坂・洞穴・塚、水部、長者旧家、社寺・堂閣、地名などに分けて、五葉山や日頃市・末崎など市内各地の言い伝えを並べる。