香林寺境内に残る通幻誕生の榎
どんな伝承か
通幻禅師が墓の中で生まれたという旧跡は、今の香林寺の境内にある。門を入って右手に大きな榎があり、これがその墓だという。昔ここには自得庵という草庵があった。元享のころ、この辺りに池渕長者という永沢氏がいて、一人娘が同じ郡の細川村の太郎麻呂と通じ、月満ちながら産むことができずに死んだ。その亡骸を庵のかたわらに葬った翌日、遍歴の僧が通りかかり、新しい塔婆に回向していると、墓の中からかすかに子の泣く声がする。施主に告げて墓を開かせると、母は死んだまま男の子を産み落としていた。長者は驚き喜んでその子を連れ帰り、僧は仏縁だと乞い受けて弟子とした。これがのちの通幻和尚だという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第11巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全56話(鳥取・島根=山陰)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。