かしわみのを着て人柱にされた男
どんな伝承か
倉吉市の大原の人たちは、草と藁で編んだかしわみのを決して着ない。三徳と竹田の渓谷から流れ出る川が合わさる竹田川は河原が広く曲がりくねり、大雨が続くと濁流が堤防を破って田畑を押し流した。とくに大原の堤防はたびたび決壊し、享保年間丑の年七月十四日の大風雨では人家までことごとく流された。藩は数年間の無年貢を許して築堤を命じ、この工事に人柱を立てようという者が現れる。人並みに働かぬ者を犠牲にすると決め、役人はかしわみのを着た一人を指名した。人々は男の冥福を祈り、約束どおり地蔵を建てたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第11巻』は、山陰の鳥取・島根両県の伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。矮姫による穀物の伝来、大山の山くらべ、伯耆の白兎、雲州皿屋敷、七尋女房、牛鬼、隠岐の後鳥羽上皇などを、伝承地を明記した口承の例話で示し、類話と近世以降の文献を添える。「文化叙事伝説」「自然説明伝説」の部に分けて話ごとに番号を付し、凡例のとおり例話・類話・文献・参考の順に並べ、多くの話に高木・柳田による伝説名を添える。