猿に変じた物持夫婦
どんな伝承か
昔、年の暮に一人のへんどがこの村へ来て、一番の物持の家に宿を頼んだが断られ、隣の家に泊めてもらった。翌元日の朝、へんどは泊めた家の主人に手拭いを渡し、これで顔や手足を拭いてみよと言う。そのとおりにすると、年とった顔がたちまち若返り、手足ものびのびとした。隣の物持の主人はそれを見て羨み、旅立つへんどを呼び戻して同じようにしてくれと頼む。へんどは、庭へ炭をつんで火をおこしあおいでみよと教えて帰った。老夫婦がそのとおりにすると熱くて堪えられず、家の後ろへ逃げ出した。追った家の者が見ると、二人は猿の姿に変わっていた。一家は追善の供養をし、お宮を建てて祀った。それがこの神社の始まりだという。
原典より
<柳田――「猿供養寺」>昔、ある年の暮に、一人のへんどがこの村にやって来て、ここで一番物持の家に一夜の宿を頼んだところがことわられ、隣りの家に泊めてもらい、翌元日の朝、泊った家の主人が、隣りの物持の家に正月礼に行こうとす…—— 日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第12巻』は、四国四県(香川・愛媛・徳島・高知)の伝説を話型ごとに集めた伝説集成の一巻である。神々の争いや大人の足跡、弘法大師の彫り残しや麦の種、英雄の誕生、長者、人柱、蛇聟、狼の報恩、化猫退治、首切れ馬、夜泣石、地蔵の霊験などを、町村誌や地方の伝説集、昭和五十三年度立命館大学説話文学研究会の採集調査稿から採る。百三十九話に通し番号を付け、各話に伝承地と出典、高木・柳田の分類名を添え、県別の〔類話〕と〔文献〕を続ける。