音戸御引淵の猿猴が届けた鯛
どんな伝承か
金子の音戸御引淵には猿猴が棲んでいた。岡田新兵衛通雅が乗馬をつないでおくと、猿猴は手綱を自分の体に巻きつけ、馬を水中へ引き込もうとした。ところが力負けし、逆に馬に引きずられて通雅のもとまで連れて来られてしまう。通雅が許してやったので、猿猴は礼として毎日流場へ鯛を一枚届けるようになった。三十日ほど続いたが、下女がこれを咎めて罵ったため、届け物はやんだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第12巻』は、四国四県(香川・愛媛・徳島・高知)の伝説を話型ごとに集めた伝説集成の一巻である。神々の争いや大人の足跡、弘法大師の彫り残しや麦の種、英雄の誕生、長者、人柱、蛇聟、狼の報恩、化猫退治、首切れ馬、夜泣石、地蔵の霊験などを、町村誌や地方の伝説集、昭和五十三年度立命館大学説話文学研究会の採集調査稿から採る。百三十九話に通し番号を付け、各話に伝承地と出典、高木・柳田の分類名を添え、県別の〔類話〕と〔文献〕を続ける。